今回は初心者の方向けにメロディの作り方やコツについて解説します。
いざメロディを作ろうと思っても、なかなか思い浮かばなかったりどうしたらいいか分からないこともありますよね。
そこで、メロディの基本となる作り方や抑えておくべきコツなどを紹介していきます。
それでは早速見ていきましょう。
メロディとは
そもそもメロディとは音程が上下する音の流れや繋がりのことを指します。
メロディの中には音程だけでなく、リズムとテンポ(スピード)も含まれています。
メロディを作るということは、リズムとテンポが含まれた上下する音程の流れを作り出すってことになります。
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メロディを作る前に知っておいた方が良い知識
メロディを作る前提として、知っておいて方が良い知識があります。
- 楽譜(小節・拍)
- コード
- スケール(モード)
楽譜(小節・拍)
楽譜は音符だけでなく、様々な記号が記載されています。
楽譜を読めるに越したことはありませんが、読めなくても小節や拍のことは知識として知っておいた方が良いです。
特に初心者の方はいずれ楽譜を読めるようになれば良いので、今は楽譜にある小節や拍の知識をインプットしておきましょう。
メロディを作る時だけでなく、「作曲をする」「歌を歌う」など音楽活動をするうえでマストな知識だと思います。
コード
コードとは和音のことで、CやDなどアルファベットで表示されます。
コードも同じく知っておくべきマストな知識ですが、コードの種類を全て覚える必要はありません。
まずはメジャーコードとマイナーコードを覚えておきましょう。
コード進行についてはこちらの記事も参考にしてみてください。
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スケール(モード)
スケール(モード)についてはちょっと小難しい説明になりますが、雑学的な感じで読んで貰えれば良いですw
スケールは音階を指します。
モードという場合もあって音楽理論的に諸説あるようなのですが、モードは旋法と表現することが多いです。
これだと分かりづらいので、まずスケールとは厳密に言えば、
「ド・ド#・レ・レ#・ミ・ファ・ファ#・ソ・ソ#・ラ・ラ#・シ」の12音階
モードはその中でどの音を選んだか、ってことです。(大雑把な説明です)
スケール(モード)はチャーチモード(教会旋法)と呼ばれる7種類のスケールの他に、中国音階、日本音階、琉球音階、エスニックモードなど色々あります。
メロディを作る時に意識しておくこと
メロディを作る時に意識しておくことは
- メジャースケールの活用
- リズム的な視点を持つ
- 出だしの位置を決める
この3つです。
音楽理論的な視点にはなってしまいますが、
メジャースケールを活用する
メジャースケールとはいわゆる聴き馴染みのある
「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の距離の7音のこと。
ただこれはドから始まった場合(キーがCの時)は「ドレミファソラシド」ってことで、キーによって変わってきます。
だから音と音の距離で覚えて方が良いです。
例えばレから始まる(キーがD)のであれば、
「レ・ミ・ファ#・ソ・ラ・シ・ド#」
となります。
ピアノなどで弾いてみると分かりやすいですね。
リズム的な視点を持つ
メロディには同じ音の流れだとしてもリズムによって変わってきます。
「ドレミ」と短い音で流れたり、「ド・レ・ミ」と音と音の間に間が空いたり、「ドーーレーーミーー」など音が伸びた状態で流れたり。
メロディには色々なリズムが含まれます。
これから作るメロディにはどんなリズムが含めるのか、これをぼんやりとでも考えてみるといいですよ。
またメロディのリズムは曲全体のリズムにも影響し影響されるので、
楽曲全体のリズムはどうなっているのか、どんなリズムにしたいのか
これも想定しておくとメロディを作りやすくなると思います。
出だしの位置
メロディの出だしの位置を決めておくのも一つです。
メロディの始まりは小節と同時なのか、それとも小節より前あるいは後なのか。
よくメロディが始まった後のタイミングで伴奏が始まる曲がありますが、これはメロディが小節より前の位置で始まっている形です。
例えば、
最近の曲であれば、米津玄師さんの「Lemon」はメロディの出だしが小節より前ですね。
「ゆめなーらばー」のメロディの出だしに対して、ピアノは「ゆめなーらばー」の「な」から弾き始めています。
また同じく米津玄師さんの「馬と鹿」は「Lemon」とは逆に、ギターのリフが鳴ってから歌い始めています。
つまりメロディの出だしが小節より後になっているってことですね。
メロディの作り方のポイント
メロディの作り方のポイントを解説します。
ポイントは
- 音域
- ブレス
- 曲全体の構成
- 歌いやすさ
- 歌いながら作る
この5つです。
このポイントはメロディを作るうえでの基本ですので、ぜひ抑えておいてください。
メロディの音域を考える
メロディを作る時に気をつけないといけないのが音域です。
音域が高すぎても低すぎても歌うことが難しくなります。
またメロディの流れから高音域や低音域があっても問題ないことはありますが、高音域や低音域が続けば歌う時にキツくなってしまいますよね。
もし自分で歌う場合には、自分が歌える音域なのかを確認しましょう。
また音域として出たとしても汚い歌声になってしまう音域はダメです。
歌える音域&歌ってもキレイな(かっこいい)音域を把握しておきましょう。
その際には録音した歌声を聴くようにしてください。
自分で歌った歌声と録音した自分の歌声って印象が違いますよね。
録音した音源から音域を確認するのが正確に音域を把握できるので、客観的に聴くためにも歌声を録音してチェックしましょう。
ボーカリストに歌ってもらう時
自分で歌う場合もボーカリストに歌ってもらう場合も、歌い手の音域はメロディを作る前に絶対に把握しておかなければなりません。
せっかく良いメロディを作れてもボーカリスト側が歌えないのでは勿体ないですから。
ボーカリストに歌ってもらう時には歌える音域を聞きましょう。
大抵のボーカリストは自分の音域を把握しているので、すぐに答えてくれます。
またできればボーカリストの歌っている音源をもらえるとリアルに分かるので良いです。
もしボーカリストが自分の音域を把握していなければ、歌っている音源は必須になってきます。
または一緒にカラオケに行ってチェックするのも方法の一つです。
メロディの中にブレスの部分を作る
メロディの中にブレスの部分を作ることも必須です。
ブレスとは歌っている時に息継ぎをする場所のこと。
ボーカルが息継ぎ(ブレス)できる箇所をメロディの中に入れてください。
そもそもメロディは始めから最後まで繋がっているのではなく、空白部分があるはずです。
好きな曲や作りたいテイストと似た曲を聴いて、どこにブレスが入っているか確認してみると分かりやすいですね。
メロディのブレスを作るコツ
メロディはフレーズという小さな塊が集まってできています。
まず1小節から2小節ほどのメロディライン(フレーズ)を作ります。
次にもう一つフレーズを作ります。最初に作ったフレーズを繰り返すのでも良いです
そのフレーズとフレーズの間に空白(休符)を設けて、ブレスできる箇所を作っていきましょう。
ブレス部分を作ることは歌い手の息継ぎのためだけでなく、メロディの区切りを分かりやすくし覚えやすくする働きもあります。
曲全体の構成を考えておく
曲全体の構成を何となくでもイメージしておくと、メロディは作りやすくなるし方向性も見えてきます。
ジャンルや楽器構成、リズムなど大まかで良いので、どんな曲構成なのかをイメージしておきましょう。
メロディが歌いやすいか確認する
メロディが歌いやすいか確認します。
これは前述した音域の確認も含まれるのですが、音域だけでなく音の流れが歌いやすいかどうかをチェックしましょう。
コツとしては、
- 音が飛ぶ(音程の高低差が激しい)メロディをなるべく避ける
- 半音で音が流れるメロディをなるべく避ける
これは大抵のボーカリストは歌いにくいはずです。
もちろん素晴らしいスキルを持ったボーカリストもいるので、歌いこなしてくれる歌い手もいます。
またメロディや楽曲によってはかっこいい、オシャレな感じになることもあります。
しかし基本は特に慣れないうちは避けた方が良いポイントです。
メロディに対しての歌詞のつながりも確認する
メロディの音の流れだけでなく、歌詞との繋がりも確認するようにしましょう。
もしメロディが作り終わってから歌詞を作る場合は別ですが、歌詞が先にある状態でメロディを作る場合には、歌詞の繋がりや発音とメロディの流れをチェックしましょう。
ちなみに、個人的には歌詞先(歌詞が先に作曲すること)はオススメしません。
なぜなら難しいから・汗
どうしてもという場合以外は、メロディを先に作るのがオススメです。
メロディは歌いながら作るのがベスト
メロディを作る時には必ず歌いながら作りましょう。
弾き語りしながらメロディを作るのなら良いですが、DTMなどメロディを別楽器を使って作る場合であっても同様です。
これはDTM上では問題なかったのに、実際に歌ってみると違和感が合ったりすることはよくあります。
また歌いながらメロディを作ることでブレスの位置や音域、歌いやすさも確認できます。
歌いやすいメロディを意識する
歌いやすいメロディが、やはり一番親しまれるメロディです。
また歌いやすいということは、それだけ耳に残りやすいので印象も良いですよね。
歌詞もリスナーに伝わりやすいです。
なので、歌いやすいメロディを作るよう意識しましょう。
コツとしては、前述したポイントである
- 音が飛ぶ(音程の高低差が激しい)メロディをなるべく避ける
- 半音で音が流れるメロディをなるべく避ける
です。
跳躍するメロディは総じて歌いにくく、また伝わりにくくなってしまうので。
歌いながらメロディを作れば、歌いやすいメロディかそうでないかも把握できると思います。
メロディの作り方のコツ
ここからはメロディの作り方のコツを解説します。
シンプルなメロディーを心がける
メロディは下手に小難しい感じやテクニカルな感じにすると、ボーカリストの良さも曲の良さも潰してしまいます。
結局、自分だけしか共感できない自己満足なメロディになりがちです。
メロディは基本シンプルな方がよく、その方が表現する余地が生まれるのでボーカリストの個性が出やすくなります。
また歌詞も聴手に伝わりやすくなるので、シンプルなメロディを心がけましょう。
仮メロディーを出す場合
ボーカリストに作った仮メロディを出す場合には特にシンプルさがベストです。
下手にニュアンスを付けず、音程やメロディの流れが分かるように仮メロディを作りましょう。
他の楽器でメロディラインを代用する場合にも、音程がわかるような音色で仮メロディを作ると、ボーカリストもメロディが把握しやすいです。
メロディのニュアンスやアクセントなどの希望がある場合は仮メロディで表現せずに、別途説明したり打ち合わせするのが良いですね。
単調なメロディにならないために
シンプルなメロディが良いとはいっても、決して単調なメロディが良いというわけではありません。
メロディにはいくつかのパターンがあり、それを使い分けることでメロディの単調さを避ける事ができます。
ちなみに使い分けるコツとしてはAメロやBメロ、サビといった曲構成のブロックごとに使い分けてみるのがオススメです。
ここでは3つのメロディパターンを紹介します。
音階型メロディ
音階的に動くメロディのこと。
例えば、「ド・レーミファーソ・ラ」などスケールの隣り合った音に移動するメロディのことです。
音の流れは波形のような形で、思い浮かぶメロディの多くはこの型になることがほとんどです。
また使われるメロディの型としても一番多いのではないでしょうか。
これがメロディの基本形だと思います。
単音型メロディ
音程の高さが一定に流れるメロディ。
例えば「ミーミミミ・ミ・ミ」など音程が連続したメロディのことです。
一定の音程なのでリズミカルで曲全体のアクセントにもなります。
ただし、歌詞が載ることが前提としてあり、インストゥルメント(歌ナシ)の主旋律としては採用できません。
ピッチ(音の高さ)の変化がなく、一定の音程が連続したメロディ
分散和音型メロディ
不規則な流れにも思われるメロディで、和音(コード)分散した音の配置となります。
例えばコードCなら「ソーミ(オクターブ上)ード(オクターブ上)」など。
またテンションコード(7th、9th、addなど装飾コードなど)を含めれば、かなりインパクトを付けられるメロディです。
しかし跳躍するメロディの型なので、歌いづらいメロディになってしまうこともあります。
メロディ作りに慣れないうちはあまりオススメしませんが、上手く使えれば曲のフックにもなりますね!
キャッチーなメロディを作るコツ
ここではキャッチーなメロディを作るコツを解説します。
キャッチーなメロディの特徴
キャッチーなメロディってよく耳にしますが、キャッチーとは「人の心を捉えやすいさま」のこと。
なので人目を惹いたり、印象に残るメロディってことです。
キャッチーなメロディの特徴は
- 同じメロディが何回も繰り返される
- 音数が少ない
- シンプルなメロディ
- メロディのリズムが分かりやすい
- メロディのリズムが曲全体を通して似ている
- メロディが印象的
上記を意識してみると、キャッチーなメロディが作りやすくなると思います。
メロディのモチーフを作る
モチーフとはメロディの最小単位の塊のことで、小さいフレーズって感じでしょうか。
モチーフはブレスを入れることを考えると、一息で歌える範囲が良いですね。だいたい2小節が一般的です。
作ったモチーフは曲全体で使うようにしましょう。
モチーフを使うコツとしては、
- Aメロや間奏、ソロなど色々なシーンでつかう
- モチーフの音程を変えてみる
- モチーフのリズムを変えてみる
- モチーフのコードを変えてみる
曲全体で完全に同じモチーフを使うと単調になり飽きられてしまうので、音程やリズム、コードを変えて飽きさせない工夫が大切です。
メロディにメリハリを付ける
メロディはメリハリを付ける意識を持ちましょう。
王道としてはAメロ、Bメロは大人しいメロディでサビを引き立たせ、サビはインパクトあるメロディを作るなどがあります。
リズムや音程、音数などで、聴かせどころとそれ以外の差を付けましょう。
初心者におすすめのメロディの作り方のコツ
これまで色々とメロディの作り方のコツを解説しましたが、特に初心者の方におすすめのコツを最後に紹介します。
メロディを作る時にコードを意識する
何もない状態でメロディを作るのは意外と難しいです。
なので、まず楽器でコードを弾くなるなりDTMで打ち込むなどして、コードの音を鳴らしながらメロディを作ると、とても作りやすくなります。
何もないところからよりも伴奏があった方がメロディは作りやすいですからね!
簡単な仮のコード進行を作ってしまい、DTMに打ち込む、ギターやピアノなどで弾いたモノを録音して、聴きながらメロディを作ってみましょう。
メロディのモチーフを発展させていく
まずメロディを最初から最後まで通して作るのではなく、最小単位のメロディの塊でもあるモチーフを先に作りましょう。
このモチーフもメロディの最初である必要もありません。サビから作っても良いですしね。
そして作ったモチーフを発展させるように増やしていきます。
同じ様なモチーフにするのでもいいし、全く別のモチーフを作るのでも良い。
そこは自由に作ってみてください。
メロディのメリハリ付けは3つのポイントを意識する
メロディのメリハリが大切だと前述しましたが、メロディのメリハリの付け方のポイントを3つ紹介します。
音程
音程でメリハリを付けるのが一番やりやすいと思います。
例えばAメロ、Bメロではメロディーの音程は「ミ~ソ」で動いているのなら、サビのメロディは「ラ~ド(オクターブ上)」に上げてみるとか。
Aメロなど構成ブロックでメロディーの音程を把握して、音程の高低差でメリハリを付けましょう。
コード
コードでもメリハリを付けられます。
これも構成ブロックごとにメリハリをつけるのが良いです。
Bメロにしか使わないコードとか、サビで1小節のコード数を増やすとか。
聴かせどころで真新しいコードを採用するなど、コードは色々な方法でメリハリが付けられるのでオススメです。
リズム
リズムもコードと考え方は同じです。
同じく構成ブロックごとにメリハリをつけます。
例えばAメロ、Bメロはリズミカルなメロディで、サビに入ってロングトーン(全音符など伸びた音)を使うなど。
リズムの変化で静と動のメリハリを付けることができます。
最後に
メロディの作り方は前提として知っておきほうが良い知識や、ボーカリストの音域の把握などのメロディを作る前の準備が必要です。
メロディの作り方やコツを紹介しましたが、曲ごとに取捨選択して参考にしていただければと思います。
そしてキャッチーなメロディや思い描いたメロディを作るためには、やはり数をこなすというのが大切だと思います。
プロですと数百曲、数千曲当たり前に作ってたりするので、今回紹介した情報を色々と試してみてくださいね。
自分が気に入るような素晴らしいメロディが作れるよう、楽しんで作業していきましょう!