ロックは音楽のジャンルの中でも特にたくさんのサブジャンルがあり、現在も枝分かれしていっているジャンルです。
そこでロックという大きな括りの中の一つ(ないし二つ)下のジャンルに絞って、ジャンル分けをしてみました。
ロックのジャンルの歴史を追いながら、大まかな種類を解説します。
それでは早速見ていきましょう。
ロックの定義
ロックは1960年代以降にイギリスとアメリカで生まれた、エレキギターが欠かせないバンドスタイルのジャンルです。
構成としては一般的には、ボーカル、ギター、ベース、ドラムス。
そこにキーボード入ったり、ギターが2パート(リードとサイド)だったり、ボーカルがギターも担当して3ピースバンドだったりなど、
色々なバンド編成はありますが、必ずギターパートは存在します。
ロックは派生ジャンルが非常に多く、現在までに色々な形や音楽性が出てきているので定義としては曖昧です。
でも、これがたぶん一番簡単で分かりやすいと思います。
プラス、ロックは激しい音楽性でありノイジーな側面を持つジャンルですが、その線引きは曖昧です。
だから、同じバンドを指しても
という正反対の意見も出てくるのは「あるある」です。
なので、個人的には自分が
「ロックだな!」
と思える曲やアーティストならロックだと捉えるのが良さそうです。
ロックの起源
1960年代当時と今では意味合いも少し変わってきますが、当時は反社会性・カウンターカルチャー的な象徴でした。
現在も同じかもしれませんが、ポップスと対極にあるジャンルだったんですね。
1960年以前は、ロックン・ロール、ブルース、カントリー・ミュージックが主流で、実はロックはここから生まれています。
ちなみに1960年代後半はロックの黄金時代とよばれています。
その時期に盛り上がっていたロックのことをクラシックロックと言います。
ロックのジャンル分けと歴史の変遷
ロックのジャンル分けをしていきますが、前述したようにロックのジャンルは膨大です。
なのでロックの一つ下部のジャンルの中から、主流となったジャンルに絞っています。
1960年から歴史に沿って解説していきます。
ロック創成期:1960年代前期~中期
ロックが形となり新たなジャンルとして確立した時代です。
その中で主に派生したジャンルが
- ブリティッシュロック
- ガレージロック
- フォークロック
の3種類。
ブリティッシュロック
イギリスから生まれたロックですが、本格的に認知されたのはイギリスのロックバンドがアメリカに上陸してからです。
特に1964年にビートルズがアメリカに上陸して、全米チャートを賑わせたことで決定的となりました。
色々なイギリスのロックバンドが続いてアメリカで活躍します。
イギリスのバンドがアメリカに上陸したことで起こったムーブメントを、
「ブリティッシュ・インヴェイジョン」
といいます。
このブリテッシュロックは、近年ではUKロックとも呼ばれる一大ロックジャンルの一つですね。
The Beatles、The Rolling Stones、The Whoなど
ガレージロック
アメリカに上陸したムーブメント「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の影響で、アメリカのバンドから生まれました。
これはロックの元となったジャンル「ロックン・ロール」に原点回帰の要素が強いジャンルです。
ガレージ・ロックの流行は一時のもので、程なく衰退していきました。
しかし2000年代に入って再度評価されるようになり、また盛り上がりを見せていったんですね。
1960年代:The Stooges、The Seeds、The Shadows of Knightなど
2000年代以降:The Strokes、Jet、The White Stripesなど
フォークロック
元々フォークソングを演奏していたアーティストが、「ブリティッシュ・インヴェイジョン」の影響でバンドを組んでいったことで生まれたジャンルです。
なので、音楽性もフォークからの影響を受けたものが強かったんです。
また社会性の強い歌詞もフォークロックの特徴です。
Bob Dylan、Neil Young、Simon & Garfunkelなど
ロック成長期:1960年代後期~
これまでのロックはブルースの要素が色濃かったですが、よりロック的に演奏することに重点を起きました。
更に機材の発展により、エレキギターの時代が到来しました。
この時期に生まれたロックのジャンルが
- ハードロック
- プログレッシブロック
この2種類です。
ハードロック
ギターのディストーションやオーバードライブなど、エフェクトによるノイジーなサウンドが特徴のジャンルです。
1970年代前半には定着していきますが、それまではサイケデリックやブルースが混合された音楽でした。
Deep Purple、Cream、Jimi Hendrixなど
プログレッシブロック
主にヨーロッパ、イギリスで流行した実験的なジャンルのロック。
長時間の曲や難解な歌詞、独特なコード進行やリズム・音など、より難しい方向に芸術的な方向に向かっていったジャンルです。
クラシックをベースにスキルの高さを見せつけるようなロックで、スキルを極めようとする傾向も顕著でした。
かなり難解で捉えどころの無いロックですね。
Pink Floyd、King Crimson、Genesisなど
ロック成長期:1970年代前期~
1970年代前半にはハードロックとプログレッシブ・ロック隆盛を極め、二大ロックジャンルととして君臨していました。
そこに新たなジャンルが登場します。それが
- グラムロック
です。
グラムロック
ラウドで激しいハードロックとも技術や構成・完成度に強みをおいたプログレッシブロックも違う、
キャッチーなサウンドとノリの良いリズムが特徴のジャンルです。
しかし同じグラム・ロックでも共通点があまりなく、音楽性よりも
- ファッション
- ビジュアル
- ステージング
などで区別されていたジャンルでもあります。
T. Rex、David Bowie、Roxy Musicなど
ロック過渡期:1970年代中期~
1970年代の中頃以降になると、それまで流行していたハードロックやプログレに対して、産業ロックの活躍が目立ち始めます。
日本の音楽評論家が生み出した言葉で、海外では「コーポレート・ロック」「スタジアム・ロック」などで呼ばれています。
ロックの進化を阻むロックの事のようでポップ色の強いロック。
特徴としては「情緒的で聴いたことのあるような型にはまったメロディ」「大げさなアレンジ」「厚めの音」など。
主なアーティスト:TOTO、Journey、Foreignerなど
この産業ロックに対して、ストレートでシンプルなロックに回帰したジャンルが生まれました。それが
- パンクロック
です。
パンクロック
アメリカのニューヨークで誕生し、イギリスのロンドンに流れたことで大流行した一大ジャンルの一つ。
テクニックよりもアグレッシブに演奏するような形の過激なロックで、
反体制、反権力、左翼的な思想の強いジャンルでした。
簡素なロックンロールな音楽性で、アップテンポで攻撃的なのが特徴です。
これは勢力の強かったハードロックやプログレッシブロック対する反発から、このような音楽性になっていったようです。
The Sex Pistols、The Damned、The Clashなど
ロック過渡期:1970年代後期~
1970年代後期に入ると、パンクロックの後継的なジャンルが生まれます。
またこの頃はハードロックが商業的にも進化的にも限界を迎え、パンクロックの影響で生まれたジャンルも出てきます。
それが
- ニューウェイヴ
- ヘヴィメタル
の2種類のジャンルです。
ニューウェイヴ
パンクロックのムーブメントは短期間に収束してしいき、その後継として生まれたジャンルです。
イギリスでの音楽シーンがディスコ、現代音楽、エレクトロミュージックなど激変していきました。
それらの影響を受けて流行ったジャンルなので、色々な要素が入ったジャンルでもあります。
Elvis Costello、Devo、Talking Headsなど
ヘヴィメタル
従来のハードロックが限界を迎え、パンクロックの音楽性にも影響され新しい音楽を追求して生まれたジャンルです。
1970年代前半まで大流行したハードロックとプログレッシブロックも、次第にマンネリ化を起こしていきます。
1970年代中盤にはパンクロックが生まれたことにより、ハードロックとプログレッシブロックは勢いを失くしていったんですね。
しかし、アンダーグラウンドでは新しいハードロックを模索していました。
そして、パンク・ロックのテイストも取り入れながら、新しいハードロックを形成していったんです。
それがヘヴィメタルというジャンルを生み出していったんですね。
今でもヘヴィメタルは有名で人気のある一大ジャンルです。
音楽性はハードロックに準じていて、
エレキギターのノイジーな音と攻撃的な音楽が基本となっています。
ハードロックと確かな境界線はなく曖昧なジャンルで、ヘヴィメタルの派生・サブジャンルも非常に多いですね。
Led Zeppelin、Black Sabbath、Judas Priestなど
ロック発展期:1980年代前期~
1980年代に入るとブルースの要素はブルースの影響を捨て去り、純粋なヘヴィメタルが確立されていきました。
イギリスのロックバンドが牽引していき、シーンが一気に活性化していきます。
またヘヴィメタル・ブームがイギリス以外にも広がっていったことで、ヘヴィメタルは細分化されていきます。
色々なジャンルが出てきましたが、その中で特に人気のあったジャンルが
- グラムメタル
- ネオクラシカルメタル
の2種類のジャンルです。
グラムメタル
1980年代を代表するジャンルで、世界的に大ブームとなり商業的に成功した一番のジャンルです。
グラムロックのように外見が綺羅びやかな特徴のあるジャンルで、
まさにグラムロックとヘヴィメタルの融合ジャンルですね。
またグラムメタルはヘアメタルとも呼ばれたりします。
これはロングヘアーをスプレーで膨らませるアーティストが特徴だったからです。
外見の以外の特徴としては80年代サウンドと呼ばれる、キャッチーでシンプルな音楽性です。
また活動拠点がロサンゼルスのグラムメタルバンドをLAメタルと、ジャンルが細分化されていました。
LAメタルはアメリカの西海岸・ロサンゼルス(LA)に、多くのロックバンドが集まったことで生まれたジャンルです。
当時人気を博したロックバンドは、ロサンゼルスから活動をスタートしたバンドが多かったんですね。
Bon Jovi、Mötley Crüe、KISSなど
ネオクラシカルメタル
LAメタルをはじめアメリカではグラムメタルが一大ムーブメントになっていた頃、ヨーロッパで生まれたジャンルです。
ギタリスト・Yngwie Malmsteenが開拓したジャンルで、速弾きやテクニカルなギター演奏を突き詰める技術に特化したジャンルです。
またもう一つの特徴としてクラシックと融合した曲調という側面もあります。
その音楽性からインストゥルメンタルの曲も多く、いわゆるヘヴィメタルとは違ったテイストのジャンルです。
Yngwie Malmsteen、Tony MacAlpine、Marty Friedmanなど
ロック発展期:1980年代中期~
ヘヴィメタルはより細分化されていきます。
1970年代後半から1980年代前半にかけて、盛り上がっていたヘヴィメタルブームに陰りが見え始めました。
しかし、アメリカのアンダーグラウンドでは、新たなジャンルが生まれたんです。
それが
- スラッシュメタル
です。
スラッシュメタル
ヘヴィメタルの勢いに陰りが見えて来た時に生まれたジャンルで、グラムメタルの反発から生まれたジャンルでもあります。
元々のヘヴィメタルにハードコアパンクの要素を入れた音楽性で、スピード感重視の曲が多いです。
またこれまでのヘヴィメタル系の音楽は、ギターソロの速弾きが花形となっていました。
しかし、スラッシュメタルの場合はギターリフの速弾きが特徴ですね。
スラッシュメタルが盛り上がったことで、ギターリフの技術が進歩したとも考えられています。
Anthrax、Megadeth、Metallica、Slayerなど
ロック転換期:1980年代後期~
ヘヴィメタルは1980年代後半をピークに衰退していきますが、若手アーティストを中心に変化が始まり、一つのジャンルが生まれました。
それが
- オルタナティブメタル
です。
オルタナティブメタル
ヘヴィメタルとオルタナティブロックの融合ジャンル。
型破りなサウンドや実験的な音楽性が特徴です。
これまでのヘヴィメタルにはあまり見られなかった、歌メロやグルーヴを強調するバンドが多いジャンルでもあります。
またこれまでのヘヴィメタルの花形であるギターソロが無い曲が多いのも、オルタナティブメタルの特徴の一つです。
ロック転換期:1990年代~現在
ヘヴィメタルは1990年代に入るとヘヴィメタルに代わり、一つの大きなジャンルが台頭しました。
それが
- オルタナティブロック
です。
オルタナティブロックというジャンルは、ヘヴィメタルのように様々な派生・サブジャンルがあります。
1990年代以降は大きな括りでいうと、オルタナティブロックがメインストリームになりました。
これはサブジャンルの誕生やメインストリームの移り変わりはあるにせよ、現在も同様です。
1990年代前半で最も有名なオルタナティブロックの派生ジャンルと言えば、
- グランジ
- ミクスチャーロック
です。
グランジ
これまでのヘヴィメタルのイメージとは正反対のイメージを与えたジャンル。
音楽性はパンクとハードロックを融合したような感じで、パンクの簡潔さとハードロックのようなリフが特徴です。
また産業ロックやLAメタルに比べて、歌詞はとてもシリアス。
若者を中心に大ブレイクしましたが、Nirvanaのカート・コバーンが他界したことで、グランジのムーブメントが収束しました。
しかし、その後も数々の人気バンドが現れ、またNirvanaなどに影響を受けたバンドをポスト・グランジというジャンルで括ったりもします。
Nirvana、Soundgarden、Pearl Jam、The Smashing Pumpkinsなど
ミクスチャーロック
日本独自の解釈のジャンルで和製英語。別名ラップロック、ラップメタル。
国によってはクロスオーバーなどと呼ぶジャンルです。
ロックと別のジャンルの音楽をミックスしたジャンルですが、主にヒップホップ(ラップ)やレゲエとミックスした音楽のことです。
ロックにラップが入ったり、ターンテーブルが入ったりしたジャンルですが、現在ではよく目にする形とも言えます。
Rage Against the Machine、Red Hot Chili Peppers、Limp Bizkitなど
まとめ
ロックのジャンルを大まか種類に分けて、歴史をたどりながら解説しました。
時期などはおおよそですし、ジャンルの定義や境界線は曖昧なので、僕の主観も入っいるかもですが大体この流れです。
ロックは本当に沢山のジャンルがあり、そこから更に細分化されていってます。
時代によって、メジャー、アンダーグランドなどシーンによって、色々なロックのジャンルがあります。
時代ごとに名曲があるし時代性もあるので、時代ごとに聴き比べてみると面白いかもしれませんね!
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