ブラックミュージックは日本語で黒人音楽と呼ばれる音楽は、ポップやロックとはまた違うテイストのジャンルです。
そのブラックミュージック(黒人音楽)には、たくんさんのジャンルが派生して細分化されています。
そこで今回はブラックミュージック(黒人音楽)の大まかなジャンルを歴史に沿って解説します。
それでは早速見ていきましょう。
ブラックミュージック(黒人音楽)とは?
ブラックミュージック(黒人音楽)とは、ざっくり言えば黒人が作り出した音楽のことです。
アメリカの黒人発祥の音楽全般を指します。
現在までに色々なジャンルが派生していて、ゴスペルのような宗教的な要素を含む音楽もあれば、
ヒップホップなどのカルチャーミュージックまで幅広いです。
そんなブラックミュージック(黒人音楽)のジャンルに共通するのが
強いビート感とグルーヴ感
これが大なり小なりの特徴となるっているんですね。
各ジャンルの境界線は曖昧で、時代によって変化したり一般認識が変わっていったりしています。
- 縦ノリ・表拍・オンビート主体なのがポップやロック
- 横ノリ・裏拍・オフビート主体なのがブラックミュージック
ブラックミュージックは差別用語?
ブラックミュージックは差別用語なのでは?
という意見もあるようですが、実際ブラックという言葉を使った黒人のグループもあったり、
1995年と古い調査結果ですが、黒人が呼ばれる敬称で一番好まれるのが「ブラック」という呼び方でした。
しかし、海外の人の中には
「ブラックミュージックは無礼な言い方!」
と思う人も少なからずいるようなので、ブラックという言葉自体は完全な差別用語とは言えないですが、無難な言い方ではないのかもしれませんね。
日本ではブラックミュージックは差別用語ではなく、ソウル、ジャズ、ヒップホップがを総称した言葉です。
どっちかというと好きなジャンルとして使われるので、日本人とのやり取りではそこまで気にする事はありません。
ブラックミュージック(黒人音楽)のジャンル
ブラックミュージック(黒人音楽)のジャンルの中で、有名なジャンルを歴史に沿って解説します。
ブルース:19世紀後半頃~
ブルースはアメリカの深南部で19世紀後半に生まれたジャンルです。
ブルースのルーツは黒人霊歌やワーク・ソング(労働歌・作業歌)で、ギターを使った歌という形式が特徴です。
より黒人の音楽性を強めたのがゴスペルですね!
ブルースから派生したジャンルは多いですが、主に
- アコースティックギターの弾き語り形式のブルース
- エレキギターを使ったバンド形式のブルース
があります。
当初は「アコースティックギターの弾き語り形式」のブルースが主流でした。
しかし、ブルースがアメリカ深南部から北上していったことで、都会的に洗練されていったことで演奏形式が多様化したんです。
1950年頃からアメリカにブルースのブームに火がつき、1960年代にはイギリスでもブルースブームが波及していきました。
ブルースの音楽的特徴
ブルースは孤独や悲しみを表現する歌で、20世紀以降のロックンロールやジャズに影響を与えました。
曲の構成(コード進行)・音階・リズムも特徴的。
特に曲の構成(コード進行)はブルース形式と呼ばれるブルース独自の構成になっています。
歌詞は身近な出来事や感情を表現したものが多く、即興で演奏されることも多いジャンルです。
1950年代に入るとジャズに影響されコード進行も洗練されていきます。
B. B. King、T-Bone Walker、Robert Johnsonなど
ジャズ:19世紀後半から20世紀初頭~
ジャズはアメリカの南部の都市から生まれたジャンルです。
ジャズはヨーロッパの技術や音楽理論とアフリカ系アメリカ人のリズム感と民族性が合わさった音楽性です。
演奏形式も自由なため、必ずしもボーカリストがメインになるわけではありません。
ピアニストやトランペット奏者など、色々な楽器演奏者がメインとなるジャンルです。
時代とともにジャズの音楽的技術は発展し、また他のジャンルにも影響を与えています。
それによってジャズの派生・サブジャンルは非常に多いんですね。
また20世紀後半には多くの国に普及していき、ポップ・ミュージックをはじめ他ジャンルに大きな影響を与えています。
ジャズの音楽的特徴
ジャズは表現の自由度さと共に技術や理論の高さが印象的です。
ジャズは基本的には他のジャンルよりもレベルの高いジャンルと認識されています。
ジャズの音楽的特徴としては
- 音階:ブルー・ノート
- 技法:シンコペーション
- リズム:スウィング・ポリリズム
- 演奏:コール&レスポンス・インプロヴィゼーション
が挙げられます。
Miles Davis、Thelonious Monk、Nat King Coleなど
ゴスペル:1930年代~
ゴスペルは元々はキリスト教の宗教音楽だったジャンルです。
ゴスペルの成り立ちは複雑ですが、宗教音楽とアフリカのリズムや音階が融合してできたジャンルで、奴隷時代の黒人の感情の表現として形つくられたようです。
一般的に知られているゴスペルは1930年代に教会で歌われたことから始まり、ゴスペルの中でもブラックゴスペルと呼ばれています。
また白人のクリスチャンもまたゴスペルを歌うことがあり、これはホワイトゴスペル(コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック)と呼びます。
またゴスペルは後の有名ソウルミュージシャンに、大きな影響を与えたジャンルでもあります。
ゴスペルの音楽的特徴
基本的なゴスペルのスタイルは
- 一人(もしくはデュオ)での歌唱スタイル
- コーラス隊(複数人)で歌うスタイル
- ソロがいてコーラス隊のいるスタイル
など色々ありますが、ゴスペルの特徴としてはやはりコーラス隊の存在です。
ゴスペルはコーラス隊を曲のサビや盛り上がりから登場させる事が多く、そのコーラスの迫力が特徴と言えます。
またアフリカの伝統が濃く残っているハーモニーやリズム、コール&レスポンス、インプロヴィゼーションなどもゴスペルの特徴です。
Thomas Andrew Dorsey、Kirk Franklin、Sounds of Blacknessなど
R&B:1940年代後半~
R&Bは前述したブルース、ジャズ、ゴスペルの影響を受けて発展したジャンルです。
1940年代以前にすでに存在していたようですが、ジャンルとしては確立されておらず1947年にビルボード誌が使ったことで定着しました。
1940年代後半の頃のR&Bは後のブラックミュージックのジャンルほぼ全てに影響していて、R&Bに影響を受けたジャンルをR&Bと扱うこともあるようです。
また1960年代にはR&Bをソウルミュージックと呼ぶようになりました。
R&Bのミュージシャンはソウルはもちろん、ファンクのアーティストとしても扱われることが多いです。
なので、R&Bとソウルの境界線は非常に曖昧で分けるのは難しく、区別することはほとんどありません。
というか、できないですね・・・汗
また現在のミュージシャンに使われているR&Bとは音楽性がちがい、厳密にはR&Bのサブジャンル(後述します)と言えます。
なのでR&Bというジャンルはソウルでもあり、また派生したジャンルのことでもあるんですね。
だからなのか、本来のR&Bの音楽性を指したり、本来のR&Bが好きな人はR&Bと略さず、
「リズム・アンド・ブルース」
と表現する事が多い印象です。
だから1940年代~1950年代のR&Bの音楽的特徴も、ソウル・ミュージックとほぼ同じだと言えます。
ロックンロール:1950年代中期~
アメリカの大衆音楽スタイルのことで、ロックの前身といえるジャンルです。
ロックンロールはロカビリーを指していて、
- 黒人音楽であるR&Bやブルースなど
- 白人音楽であるカントリーミュージックなど
が混ざって出来上がったジャンルです。
その後、あの有名なエルビス・プレスリーなど白人ミュージシャンが登場し活躍したことで、
ロックンロールは「白人の音楽」
として認知されていきました。
その後、宗教団体や保守派政治家の批判が高まり、
徴兵や懲役、事故による他界などで人気アーティストが、次々とメインストリームを去ってしまったんですね。
こうしてロックンロールは衰退していきました。
ロックンロールの音楽的特徴
前述したように黒人音楽と白人音楽が混ざったジャンルなので、それぞれの特徴が合わさった音楽です。
大まかに表現すると
R&B(本来のリズム・アンド・ブルース)やブルースとカントリーミュージックがミックスされた音楽性
ロックンロールの基本構成は3ピース(エレキギター、エレキベース、ドラムス)です。
しかし、ピアノがメインとなったり、エレキギターの代わりにアコースティックギターを使うなどスタイルもあります。
またエレキベースの代わりにウッドベースを使うなど音楽編成は多彩です。
Chuck Berry、Little Richard、Elvis Presleyなど
ソウル:1960年代初期~
1960年代に入ってから、それまでのブラックミュージックが世間的に認知されポピュラーになっていきました。
そして、R&B(本来のリズム・アンド・ブルース)の中でも特にゴスペル色の強い音楽がソウルと呼ばれるようになったんですね。
しかし、前述したようにソウルとR&Bの境界線は曖昧で区別することは難しく、ソウルとR&B(本来のリズム・アンド・ブルース)は同じ括りにされることが多いです。
ソウルから派生したジャンルも多く、地域性やレコード会社によってジャンル分けされてたりします。
ソウルの音楽的特徴
ソウルは当時のポピュラーミュージックで、
- ゴスペル色の強いコード進行
- 覚えやすいリズム
- コール・アンド・レスポンス
が特徴的です。
またゴスペル由来の迫力のある圧倒的な歌声や歌唱力もソウルの特徴です。
Aretha Franklin、Sam & Dave、Wilson Pickettなど
ファンク:1960年代中期~
ブラックミュージックの中でもアフリカ系アメリカンを起源としたジャンルです。
あの有名なジェームス・ブラウンからファンクの原型が作られました。
ジェームス・ブラウンの登場は他のジャンルのアーティストに大きな影響を与えたそうです。
1960年代後半から1970年代初頭にかけて、人種混合バンド「スライ&ザ・ファミリー・ストーン」によってロックテイストが加わえられました。
ロックテイスト加えられた事で白人からの人気も得ることになり、ファンク・ブームが拡大していきます。
更に、1970年代に入るとジョージ・クリントンが率いた「パーラメント」と「ファンカデリック」がブームとなり、ファンクの音楽性の幅が広がっていきました。
ファンクの音楽的特徴
ファンクは1拍目にアクセントを置いた16ビートのリズムに、フレーズを繰り返す音楽性が特徴です。
ファンクはリズムが重要な要素でもあり、各パート共にビート重視の演奏形体が多いです。
特にギターはカッティングやワウ(エフェクト)などは、ファンクではよく耳にします。
またコンガなどパーカッションも多用されるのが特徴ですね。
James Brown、George Clinton、Sly & The Family Stoneなど
ディスコ:1960年代中期~
ディスコの発祥は1960年代からディスコで流れてた音楽を指します。
ファンクやソウル似影響を受けているジャンルで、1960年代はディスコは純粋なソウルが流れていました。
しかし、1970年代にかけてソウルを踊れるように変化させていったのがディスコというジャンルです。
1970年代後半には空前のディスコブームが訪れ、多くのヒット曲と人気アーティストが生まれました。
また映画「サタデー・ナイト・フィーバー」などの影響で、ディスコはメインストリームに押し上がっていったんですね
ディスコの音楽的特徴
ファンクやソウルから影響を受けていることもあってビートが重要視されているジャンルです
オフビート(裏拍・裏リズム)が強調されたリズムを、エレキギターを始め、ホーンセクションやストリングスなど色々なパートがビートを刻みます。
またBPMが120前後の曲が多いのも特徴ですね。(BPMとはテンポのこと)
Gloria Gaynor、Donna Summer、Bee Geesなど
ヒップホップ:1970年代~
ヒップホップのルーツは、1970年代にアメリカのニューヨーク・ブロンクスのコミュニティのブロックパーティから生まれました。
<ブロックパーティ>
簡単にいうと地域の祝い事や祭りのこと。
都市部では非合法な営みが多く不良の温床だったようですが、郊外では祝日や記念日に開催される健全なパーティだったようです。
ヒップホップは音楽のジャンルであるとともに文化でもあり、ヒップホップの要素は
- ラップ
- ブレイクダンス
- グラフィティ(スプレーなどで壁に書かれた落書きのこと)
でしたが、現在では上記3つにプラスして「DJプレイ」が加わり、ヒップホップはこの4大要素でできている文化とされています。
ヒップホップは細分化されているジャンルが多く、地域性や時代性によっても分けられます。
それによって印象もかなり変わってきます。
またジャンルによっては音楽性だけでなく、スタイル(ダンスやファッションなど)も括られています。
1990年代に東西抗争というヒップホップの歴史史上最悪の抗争が起きます。
アメリカ西海岸(ロサンゼルス)と東海岸(ニューヨーク)のそれぞれのアーティストが、レーベル規模で対立を始めてしまったんですね。
その結果東西を代表するMCが命を落とすという悲惨な結末となりました。
この事が経緯となり、東西抗争は徐々に沈静化していったんです。
現在は大きな衝突はなく、東西のアーティストが分断・対立することも無いようです。
ヒップホップの音楽的特徴
なんと言ってもラップとDJプレイですね。
ラップはメロディの代わりに韻を踏む(ライミング)のが特徴で、韻の踏み方も様々です。
またメロディラインを付けたラップもあったり、声質や発声によってかなり違いが出てきたりするので、アーティストによって印象がかなり変わります。
DJプレイは特にスクラッチがヒップホップから生まれたプレイ方法なので特徴といえますね。
Run-D.M.C.、2Pac、The Notorious B.I.Gなど
ブラック・コンテンポラリー:1970年代後半~
1980年代のブラックミュージックの代表ジャンルです。
ざっくり言えば、ソウルを白人向けにマイルドにしたジャンルで、シンセやリズムマシンを取り入れた音楽が特徴です。
また1990年代にはブラック・コンテンポラリーの事をR&Bと呼ぶようになっていったんですね。
Whitney Houstonなど
コンテンポラリーR&B:1980年代~
ブラック・コンテンポラリーはソウルをマイルドにしたジャンルですが、
コンテンポラリーR&Bは、本来のR&Bやポップ・ソウル・ファンク・ヒップホップが合わさってできたジャンルで、ポピュラー音楽により近くなったといえます。
ブラック・コンテンポラリーとコンテンポラリーR&Bの境は1980年~1990年当時は不明瞭ですが、現在のチャートを賑わせているR&Bは全てこのジャンルに入ります。
Mariah Carey、Ariana Grandeなど
まとめ
ブラックミュージックはジャンルたくさんあり、それぞれに特色はあります。
ですが共通した特徴はやはりロックやポップよりも、リズムが重視されている音楽が多いってことです。
大まかなジャンルはロックのジャンルとは違い、特色の違いが割とはっきりあるので、好きなジャンルも探しやすいかもしれませんね!
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