編曲のやり方とコツについて解説します。
曲を作る上ではここがメインともいる作業で、楽しい部分でもあります。
しかし編曲は色々な要素があり、またある意味自由度が高いので初心者の方を始め、まだ慣れていない人にとってはとても難しく感じる部分です。
今回は作曲の初心者の方がまず把握しておきたいポイントを紹介して、編曲のやり方とコツの解説をしていきます。
それでは早速見ていきましょう。
作曲と編曲の違い
編曲はアレンジとも言われる部分で、編曲よりもアレンジという言葉の方が耳にすることが多いと思います。
作曲と編曲(アレンジ)の違いは人によって多少の解釈の違いはありますが、まず作曲は
「メロディ(主旋律)を作る」
鼻歌でも作曲になるってことですね。
ただ実際の作業ベースで考えれば、作曲は
- メロディ(主旋律)を作る
- 仮のコード進行を作る
この2つで、コード進行は本決まりではなくて仮付けする形です。
一方で、編曲とは簡単に言えば
- 伴奏を作る
カラオケを作る感じですね。
初心者のための作曲方法ガイドを作成してみました。 作曲の始め方、作曲方法、編曲、DTMなど作曲方法に関わることについてまとめています。 作曲はどうやって始めればよいのか? 作曲や編曲(アレンジ)やり方は? など、[…]
編曲でやっていることは何?
編曲でやることは
- ジャンルを決める
- コード進行を決める
- 楽器構成を決める
- 各パートを組み立てる(アンサンブル)
ジャンルは作曲の段階で決まっている場合もあります。
編曲の段階で仮で決めたコード進行を元に、正式なコード進行を決定します。
編曲はピアノやギターだけで可能か?
ピアノやギターだけで編曲をすることは不可能です。
作曲なら可能ですしピアノ曲やギターだけの伴奏であれば別ですが、流行りのEDMはもちろんJPOPやROCKなどのジャンルを編曲する場合は無理ですよね。
ピアノならピアノ、ギターならギターの音しか出せないので。
だから、一通りの編曲をする場合には機材を用意しなければなりません。
編曲に必要な機材
編曲をするために必要な機材というのはDTMの環境を整えることと同じになります。
- パソコン
- シーケンサー(DAWなど)
- オーディオインターフェース
- プラグイン
- MIDIキーボード
- スピーカー
- ヘッドフォン
上記の機材が揃っていれば編曲するうえでベストな機材環境です。
必須な機材
パソコンやDAW、オーディオインターフェースは編曲するうえでは必須となります。
オーディオインターフェースとは、デジタルとアナログの変換器のようなものです。
楽器演奏など外部の音を取り込んだり、DAWで作った音は再生するために必要な機材となります。
パソコンのスペックに注意する
DAWを使う場合にはパソコンのスペックはなるべく高いものが望ましいです。
パート数や使う音色の数などでパソコンにかかる負荷は変わってくるので、スペックの低いものでも出来ないことはありません。
ですが、低いスペックを選ぶということは、作業途中で強制終了したり、再生できない、もしくはちゃんと再生しないなどの不具合が生じるおそれがあります。
スペックの推奨目安は
- CPUはcore i7以上
- メモリは16GB以上
少し高めですが快適に作業するために、少し高いスペックのパソコンをオススメします。
強制終了して数時間の作業が、思いついたフレーズが消えた・・・なんてことにならないようにしたいですね。
できればあった方が良い機材
プラグイン、MIDIキーボード、スピーカー、ヘッドフォンは任意です。
プラグインとは拡張音源やエフェクトのことで、最近のDAWには機能や付属で付いていることがあるので絶対に使いたいと思うプラグインがある場合以外は、用意しなくても大丈夫です。
MIDIキーボードは無くてもDAWを扱えるし編曲も可能ではありますが、作業効率的、感覚的なことを考えて用意することをオススメします。
スピーカーとヘッドフォンは最悪どちらかで構いません。
環境や用途よって決めましょう。
初心者が把握しておきたいポイント
編曲をする時に把握しておきたいポイントは
- 編曲のやり方は十人十色
- 編曲は事前準備と実際の作業に分かれる
編曲のやり方はやらなくてはいけない工程はあるものの、その順番は人それぞれ。
もちろん編曲しやすいという順番もあるのですが、ジャンルや個人の好みによって変わってきます。
なので、色々な作業の順番を試して、自分がやりやすい編曲の手順を見つけるのが良いと思います。
また編曲は事前準備のフェーズと実作業のフェーズに分かれるということを意識しておきましょう。
編曲を始める前にしておくこと(事前準備)
編曲を始める前にすることは、
- ジャンルを決める
- 参考曲を集める
- テンポと楽器を決める
- 作曲しておく(曲構成&メロディ&コード進行)
上記4つを済ませておくと、編曲の作業がスムーズに入れると思います。
ジャンルによってどんな曲調や雰囲気にしたいのか、編曲の方向性が決まります。
参考曲は、自分の作りたいテイストに近い曲を揃えておくことで、編曲の際の参考資料になりますよね。
また参考曲が集まったら、テンポや楽器も想定しやすいですから。
あとは作曲をしておくと良いですね。
作曲の作業は前述したように、メロディとコード付けです。
作曲は仮のメロディと簡単なコード進行を作るくらいのラフな感じで良いです。
またメロディが出来上がっていれば曲の構成(Aメロ・Bメロ・サビなど)も、なんとなく決まってきていると思います。
これも編曲の下地になるので、作曲は先にしておくと楽だと思いますよ。
ただ人によってはリズム隊(ドラムやパーカッションなど)を入れてからの方が、メロディを作りやすいという声もあります。
これはジャンルによっても同じことが言えるので、このへんは臨機応変に捉えていきましょう。
編曲のやり方の一例
編曲において実際にやることと、簡単なやり方の一例を紹介します。
なおミックス作業は省いた説明になりますm(_ _)m
編曲でやることは
ジャンルや人によっても作り方が違いますが、メロディとコード進行を除いて編曲で具体的にやることは
- リズムの作成(ドラムやパーカッションなど)
- ベースラインの作成(ベース系)
- コード感を出すパートの作成(ギターやピアノなど)
- ロングトーンパートの作成(シンセパッドやストリングスなど持続音が長い音色)
- カウンターライン(対旋律:メロディとは別のもう一つのメロディ)の作成(シンセリードやギターなど)
- オスティナート(音の繰り返し・リフ)の作成(シンセリードやギターなど)
- フィルインの作成(構成の切り替わりの部分に入れる(Bメロからサビに入る部分とか))
- ペダルポイント(保続音)の作成(ロングトーンの音色が良い)
ここにメロディパートが入ります。ハモリのパートが入ることもありますね。
上記すべてを入れる必要は無いし、同じ音色で複数の役割を担う場合も当然あります。
音色の使い方はベターはありますが、自由ですので色々試してみるのが良いですね。
編曲の簡単なやり方
編曲の簡単なやり方を解説します。
まず各構成ブロック(AメロやBメロなど)のコードのベース音を鳴らして、リズムパート(音色:ドラム)を作成します。
次に、ピアノやギターなどコード感が出るものを入れます。(パッド系のシンセの音色でもいいですね)
ここまでは作曲でしていることとあまり変わりはありません。
次はパートの追加と肉付けの作業に入ります。ここからはジャンルや個性によって分かれてきますが、
- ロングトーン・パート(持続音の長い音色)の作成、
- カウンターライン(メロディとは別のもう一つのメロディ)の作成
- オスティナート(音の繰り返し・リフ)の作成
これらのパートを作成することで曲らしくなってきます。
次に
- コード進行の修正とともにコード感を出しているパートやベースラインの修正
リズムのチェックもしておくと良いですね。
最後に
- フィルインの作成(構成の切り替わりの部分に入れる)
- ペダルポイント(保続音)の作成
フィルインはどのパートでも構いませんが、慣れないうちはドラムパートにフィルインを作ると良いですね。
また個人的にはペダルポイントは使わなくても曲の隠し味的な要素もあり、曲調にもよるので無理して使う必要もありません。
使いやすいやり方としては、ロングトーンパートの中にペダルポイントを入れるのが良いでしょう。
【まとめ】
- リズムパートを作成(ラフ)
- コード感が出るパートの作成(ラフ)
- ロングトーン・パートの作成
- カウンターラインの作成
- オスティナートの作成
- コード進行の修正とともにコード感を出しているパートやベースラインの修正
- フィルインの作成
- ペダルポイントの作成(入れなくても良い)
この様な感じです。
あくまで一例なので順番が前後しても良いし、省いても構いません。
編曲をする時の参考にしてみてくださいね。
編曲のコツ
編曲をする際に多くの人に言われている意見と個人の見解から編曲のコツを紹介します。
イントロから作る必要はない
初心者の方の中には曲の始まりであるイントロから編曲していかなければいけない、と思っている人もいます。
が、イントロから作らなければいけない、ってことは全くありません。
もちろんイントロから作った方がやりやすい人や状況もあるでしょうが、サビから作る人もいればAメロから作る人もいます。
特にサビから作るとイントロも作りやすいという人が多いように感じますし、曲のメイン部分でもあるサビを先に作り込んで、その後周りを作っていくやり方も良いと思います。
特にメロディが明確に固まっていない場合はおすすめしたいやり方です。
個人的にはメロディが固まっているのなら、イントロは後回しにしてAメロから順に作る方が作りやすいです。
最初にリズムを作ってしまう
編曲のやり方でも解説しましたが、先にリズムを作っておいたほうが編曲の作業ははかどります。
ここでのリズムは仮で良くて、ループ的なリズムを作っておきます。
リズムの色付けは後からできるので、ここでは編曲のリズムイメージや他のパートのリズムの指針にするためのリズムですね。
コードを付けるコツ
コード音は音を伸ばせばコード感は強くなり、短くするとリズミカルなコード感が出てきます。
コードを付けるコツとしては
- リズムに合わせてコード付をする
- リハーモナイズ(コードを付け直す)する
- メロディにコードを付ける
- 構成でコードの数を変える
コード進行の基本はこちらを参考にしてみてください。
作曲する上で必要となるコード進行の作り方を初心者の方向けに解説します。 コード進行を作る方法は色々なアプローチがありますが、作曲に慣れていない方におすすめの方法は コード進行のパターンの雛形を作る コード進行をモデリン[…]
リズムに合わせてコード付をする
リズムに合わせてコードを付けていきます。
基本はリズムのビートに合わせたコード付けが良いです。
8ビートのリズムなら8ビートのリズムでコード付けていく(コードを切り替える)と、違和感が無くハマります。
リハーモナイズ(コードを付け直す)する
最初に決めていたコードが各パートを入れていくうちに、イマイチになることがあります。
その際はコードを付け直してみましょう。
またこのコードの付け直しは、コードの音の並び(ボイシング)を変える事も含みます。
例えば、コードがCで「ド・ミ・ソ」で弾いていたなら、
- コードを変える:CからEmやAmなど
- コードの音の並びを変える:「ド・ミ・ソ」から「ミ・ソ・ド」など
コードを変えなくてもボイシングを見直すだけでしっくりくる場合もあるので、是非試してみてください。
メロディにコードを付ける
メロディに対してコードを付けます。もしくは付け直します。
メロディが後付だった場合は特に最初に決めていたコードと合わないな・・・という事も起こるので、メロディを参考にコードを付けてみましょう。
メロディに対してのコードの付け方は以下を参考にしてみてください。
ベースラインを付けるコツ
ベースラインは曲の土台となり、ドラムと共に曲のリズムを支えるパートです。
基本はあまり目立たず(ジャンルによります)で、メロディの邪魔にならないようなベースラインを作ります。
例えば、メロディの音の動きが激しい時にはベースラインはあまり動かず、メロディが落ち着いた時にはベースラインが隙間を埋めるように動いていくなど。
曲に音の間がある時にベースラインを動かすのがコツです
フィルインはパートを増やす時と構成の変わり目で活用
フィルインは楽器パートを増やす時と、AメロからBメロに変わる寸前など構成の変わり目の箇所で使うと効果的です。
これはどちらも曲の印象が変わるので、その手前で「変わるよ~」と予感をさせるためです。
フィルインの基本は予感させる効果なので、曲の変わり目や節目で使うのが○
ロングトーンパートを減らす時は音をフェードアウトさせる
それまで使っていたパッド系などロングトーンパートを減らす場合には、音をフェードアウトさせるようにします。
フェードアウトとは減衰のことで、よく曲の終わりがだんだん音が小さくなって終わったりしますよね。
この効果がフェードアウトです。
パッド系などロングトーンの楽器は、いきなりパートを減らしてしまうと違和感が出てしまいます。
その違和感を無くし自然に音が無くなるようにするために、ロングトーンパートを減らす場合にはフェードアウトさせましょう。
ただし、あえてカットアウト(いきなり消える)させて、違和感をあえて出させるという方法もあるので、状況によります。
基本はフェードアウトって覚えておくといいですね。
シンコペーションを使う
シンコペーションとはリズムのアクセントを変えることで、通常の曲のアクセントからズラすことで独特なリズムが生まれるやり方。
よく喰うリズムとか裏とか呼ばれるリズムに近いです。
それこそメロディの出だしをズラしたり、楽器のロングトーンを小節をまたいで伸ばしたりなど色々な方法があります。
曲のリズムにテイストを入れたかったり、2番は1番と変化をつけたい場合に使うと効果的です。
編曲は足し算・引き算
編曲の基本は足し引きです。
引き算的な考え方が強い場合は、サビから作ってそこからパートを減らしていきます。
逆にAメロから作るのであればパートを足していって、サビが合計になるのが基本です。
慣れないうちはあれもこれも入れてしまって、パートや音数が膨大になってしまうことがよくあります。
イントロもAメロも楽器パートや音数が多かったら、盛り上がるサビはそれ以上入れなければならなくなり、結果耳障りな編曲になってしまいます。
編曲は脇役を作るイメージです。
曲のメインは基本はメロディなので、メロディが埋もれてしまっては意味がありません。
これが大切です。
無音の重要性を知る
前述した足し算・引き算の考え方にも繋がりますが、編曲する時に無音を作る意識を持つことが大切です。
フィルインの一種として無音を使う場合もありますが、無音の間を作ることで歌い手の感性を表現する時間を作れるし、聴いてる耳が疲れないということもあります。
無音があることで想像や余韻など、ボーカルや視聴者の入り込む余地が生まれます。
音が足りないと思うくらいがちょうど良かったりするので、編曲をする時には無音を作る、音を入れすぎない意識を持つと良いですね。
具体定期にどうかなって知りたい場合には、編曲したモノを楽譜に起こして見ると良いですよ。
楽譜を見てオタマジャクシだらけだったら、音が多いかもしれません・汗
作曲する時に重要となってくるのがイントロの作成。 今回はイントロの作り方のアイディアやコツについて解説します。 イントロの作曲には定番の作り方やパターンがあるので、それを知ることでイントロも作りやすくなると思います。 また[…]
最後に
編曲のやり方について解説しました。
編曲のやり方や手順は色々ですが、基本となることはあるので編曲する際の参考にしてみてください。
編曲をしていくうちに、自分に合った編曲のやり方が見つかってくると思います。
それに編曲は自由だと思うし、最初はまず一曲を完成させることを目標にした方が挫折しないと思うんですね。
まずはまずはクオリティよりも自由に作ってみるのが、編曲やDTMを楽しむための秘訣だと思います^^