コード進行にはいくつかのパターンがあります。
王道で定番のパターンから感動的で切ないパターンやエモいパターンまで本当にたくさんあり、JPOPをはじめ多くの有名な曲に使われています。
コード進行を作ることが難しいと感じる場合には、広く使われているコード進行を参考にするとコード進行も作りやすいです!
そこで今回は、定番コード進行やJPOPやメジャーな曲でよく使われているコード進行のパターンを紹介します。
それでは早速見ていきましょう。
コード進行を解説する前に知っていおいて欲しい基礎知識

コード進行を解説する前に、幾つか知っておいて欲しい基礎的な知識があります。
- キー(調)
- ダイアトニックコード
この2つです。
簡単に説明しますが、キーはその曲のスタートの音を確定するもので、
一般的に知られている「ドレミファソラシ」はドから始まっているので、キーはCとなります。
音階とコードの関係は
そしてダイアトニックコードはそのキーで使用できる基本コードとなります。
ローマ数字で表記されるのが一般的で、
キーがCの場合
となります。
今回のコード進行の解説では、ローマ数字の度数とキーがCの時のコード進行を表記します。

→ コード進行の作り方|作曲初心者におすすめの方法は雛形とモデリング
作曲する上で必要となるコード進行の作り方を初心者の方向けに解説します。 コード進行を作る方法は色々なアプローチがありますが、作曲に慣れていない方におすすめの方法は コード進行のパターンの雛形を作る コード進行をモデリン[…]
基本のコード進行
スリーコード
スリーコードはコード進行の基本となります。
スリーコードとは「I・Ⅳ・V7」(C・F・G7)です。
スリーコードのコード進行の基本パターンとしては
- C ー F ー G7
- F ー C ー G7
- F ー G7 ー C
- G7 ー C ー F
- C ー G7 ー F
- G7 ー F ー C
赤字のV7 - Ⅳ(G7 - F)は逆進行となり原則的にはXとされていますが、しっくり来るのであれば良いと思います。

定番のコード進行パターン3種
コード進行には定番のコード進行があります。
それは
- 王道進行
- カノン進行
- 小室進行
の3つです。
この3つの定番のコード進行から派生した形でコード進行パターンが増えていっているので、順に紹介します。

王道進行と派生コード進行パターン
コード進行の定番とも言える王道進行。
その王道進行から派生したコード進行パターンがあり、いずれも定番といえるコード進行です。
王道進行
- 度数:Ⅳ ー Ⅴ ー Ⅲm ー Ⅵm
- キーC:F ー G ー Em ー Am
邦楽ではど定番のコード進行で、流行曲の元となるようなコード進行パターンですね。
このコード進行は多くの曲で使われているので王道進行と呼ばれているのですが、最近はこのまま使うよりも少し工夫されたコード進行が多い印象です。
このコード進行を使っておけば一曲作れるよねって感じです。
ユーロビート進行
- 度数:Ⅳ ー V ー Ⅵmー Ⅵm
- キーC:F ー G ー Am ー Am
ユーロビートで多用されていたコード進行で、王道進行の派生コード進行パターンです。
特にサビの部分でよく使われていて、シンプルですが王道進行と類似しているため日本人にとっては聴きやすいコード進行ですね。
ユーロビート進行のアレンジ
- 度数:ⅣM7 ー V ー Ⅲmー Ⅵm
- キーC:FM7 ー G ー Em7 ー Am
グッとおしゃれな雰囲気が出るコード進行に変わります。
J-POP進行
- 度数:ⅣM7 ー Ⅴ7 ー Ⅲm7 ー Ⅵm
- キーC:FM7 ー G7 ー Em7 ー Am
王道進行にM7や7を付けて4和音編成にしたパターンですね。
セブンス・コードにしたことで少しエモい感じが出ている、JPOPに非常に多く使われているコード進行です。
王道進行も多いですが、現在はこちらの形が多く日本人が好むコード進行パターンと言えます。
J-POP進行のアレンジ(切ないパターン)
- 度数:ⅣM7 ー Ⅴ7 ー Ⅲ7 ー Ⅵm
- キーC:FM7 ー G7 ー E7 ー Am
JPOP進行のⅢm(Em)をⅢ7(E7)に変えたパターンです。
普通のJPOP進行より切ない印象が増すコード進行です。
J-POP進行のアレンジ(エモいパターン)
- 度数:Ⅱm9 ー Ⅴ7 ー Ⅲm7 ー Ⅵm
- キーC:Dm9 ー G7 ー Em7 ー Am
JPOP進行のⅣM7(FM7)をⅡm9(Dm9)に変えたパターンです。
普通のJPOP進行より大人な雰囲気で、エモい感じのあるコード進行です。
6345進行(期待感・予感を感じさせる進行)
- 度数:Ⅵm ー Ⅲm ー Ⅳ ー Ⅴ
- キーC:Am ー Em ー F ー G
王道進行を組み替えたパターン。
次への期待感や何かが起こるような予感を感じさせるコード進行です。
盛り上がりを予感させたり、ピークや音の高鳴りを予感させたりなど、サビ前など曲のメイン前に効果的なコード進行と言えますね。
3456進行(上昇進行)
- 度数:Ⅲm ー Ⅳ ー Ⅴ ー Ⅵm
- キーC:Em ー F ー G ー Am
音が徐々に上がっていくコード進行。
少し憂いがありながらも音が上がるにつれて、緊張感が増していく印象です。
サビの盛り上がりやストイックな雰囲気にしたい時に使えるコード進行ですね。
カノン進行
- 度数:I ー V ー VIm ー IIIm ー IV ー I ー IV ー V
- キーC:C ー G ー Am ー Em ー F ー C ー F ー G
学校の音楽の教科書にも載るパッフェルベルの「カノン」に使われているコード進行。
このコード進行もど定番で、ヒット曲の多くに使われている有名なコード進行です。
カノン進行をベースとした曲は日本だけでなく洋楽にも使われている事が多く、世界的に馴染みのあるコード進行と言えそうです。
ただし、カノン進行を使った曲が非常に多いため、既存曲とカブる可能性の高いコード進行ともいえます。
カノン進行(下降進行)
- 度数:Ⅰ ー Ⅴ/Ⅶ ー Ⅵm ー Ⅲm/Ⅴ ー Ⅳ ー Ⅰ/Ⅲ ー Ⅱm7 ー Ⅴ7
- キーC:C ー G/B ー Am ー Em/G ー F ー C/E ー Dm7 ー G7
ベース(ルート)音がⅠ音ずつ下降していき、最後のⅣ(F)を代理コードⅡm7(Dm7)に変えたカノン進行。
ベース音が滑らかに下降していく、聴き心地の良いコード進行になります。
順次下降進行(ラピュタ)
- 度数:VIm ー V ー Ⅳ ー IIIm ー Ⅱm ー Ⅵm/Ⅰ ー Ⅶ7 ー Ⅲ7
- キーC:Am ー G ー F ー Em ー Dm ー Am/C ー B7 ー E7
上記のコード進行は順次下降進行の一例で、ひたすらコード(あるいはベース)が下がっていきます。
ベース(ルート)音がラから順にシまでひたすら下降していくパターンですね。
上記のコード進行は天空の城ラピュタのテーマ曲のコード進行です。
順次下降進行のアレンジの一つとして、2つ目のV(G)をⅢm/V(Em/G)にすることもできます。
順次下降進行(バラード)
- 度数:Ⅰー V/Ⅶ ー Ⅵm ー Ⅴ ー Ⅳ ー Ⅲm ー Ⅱm ー Ⅲm
- キーC:C ー G/B ー Am ー G ー F ー Em ー Dm ー Em
順次下降進行の中でバラードに使われることが多いコード進行です。
前述したラピュタの下降進行と同じくひたすらベース音が下降していきます。
M7・7・add9を付け足すことで、グッとオシャレになります。
半音階的進行
半音的進行はコードの構成音(ベース音含む)が半音ずつ上昇・下降するコード進行です。
半音的進行の作り方としては大まかに
- 分数コードの使用
- 裏コードの使用
- クリシェの使用
の3つがあります。
Ⅱ♭7(V7の代理コード)
構成音の一つを順に上昇・下降させコード自体を変化させる方法
小室進行
- 度数:Ⅵm ー Ⅳ ー Ⅴ ー Ⅰ
- キーC:Am ー F ー G ー C
小室哲哉が頻繁に使っていたコード進行です。。
日本人が好むコード進行の定番で、最近ではボカロやアニメ・ゲーム音楽でもよく使われています。
TMネットワークのGet Wildは小室進行の代表曲と言えますね。
小室進行のアレンジ
小室進行のアレンジの一例として3つ紹介します。
- 度数:Ⅵm ー Ⅱm ー Ⅴ ー Ⅵm
- キーC:Am ー Dm ー G ー Am
- 度数:Ⅵm ー Ⅱm ー Ⅲ7 ー Ⅵm
- キーC:Am ー Dm ー E7 ー Am
- 度数:Ⅵm ー Ⅱm ー Ⅴ ー Ⅰ ー Ⅴ/Ⅶ
- キーC:Am ー Dm ー G ー C ー G/B
4156進行
- 度数:Ⅳ ー Ⅰ ー Ⅴ ー Ⅵm
- キーC:F ー C ー G ー Am
邦楽でも洋楽でもよく使われているコード進行。
昔から馴染みのあるコード進行ですが、最近特に多くなった感じもします。
Ⅳから始まりⅠ(C)で終わらず代理コードのⅥm(Am)で終わる偽終止の形が、ひと味違う雰囲気を出しているコード進行です。
6415進行
- 度数:Ⅵm ー Ⅳ ー Ⅰ ー Ⅴ
- キーC:Am ー F ー C ー G
小室進行の後半3つ目と4つ目のコードが入れ替わったパターン。
小室進行とはまた違う印象になり、爽やか耳に残るコード進行です。
1645進行
- 度数:Ⅰ ー Ⅵm ー Ⅳ ー Ⅴ
- キーC:C ー Am ー F ー G
小室進行のⅠ(C)を先頭に右にズレたパターン。
明るく開放的なコード進行は、80年代に頻繁に使われていました。
また渡辺美里の「My Revolution」など、小室哲哉の初期の作品に多く見られた印象がありますね。
1645進行のアレンジ
- 度数:Ⅰ ー Ⅵm ー Ⅳ ー Ⅱm ー Ⅴ
- キーC:C ー Am ー F ー Dm ー G
ⅣとVの間にⅡmを挟むことで、切なさが出るコード進行になります。
1625進行
- 度数:Ⅰ ー Ⅵm ー Ⅱm ー Ⅴ
- キーC:C ー Am ー Dm ー G
JPOPで非常に多く使われているコード進行で、先に紹介した1645進行の3番目Ⅳ(F)を代理コードⅡm(Dm)に変えたパターン。
どの構成ブロック(Aメロ・Bメロ・サビ)でも使える、使用頻度の高いコード進行です。
1625進行のアレンジ
- 度数:Ⅰ ー Ⅵm7 ー Ⅱm7 ー Ⅴ7
- キーC:C ー Am7 ー Dm7 ー G7
最近ではセブンスコードを付けて、4和音コードを多用したコード進行が流行っていますね。
セブンスコードをコード進行に入れる時には、転回形を考えて音を配置すると大人の雰囲気のオシャレなコード進行になっていきます。
Let It Be進行
- 度数:Ⅰ ー V ー Ⅵmー Ⅳ
- キーC:C ー G ー Am ー F
ビートルズの名曲「Let It Be」で使われていた超有名なコード進行。
とても印象的で感動的なコード進行で、色々な曲に使われています。
カノン進行と同じく、昔から愛されている人気のコード進行ですね。
ただこのコード進行は「Let It Be」の印象が非常に強いので、まんま使ってしまうと「Let It Be」の印象に引きずられてしまいます。
敢えてそれ狙いであれば構いませんが、
- ワンポイントで使う
- 構成ブロック(Aメロ・Bメロ・サビ)の一つに使う
などコード進行の使い方に工夫をしたり、アレンジやサウンドメイキングで「Let It Be」の印象薄めていくといいですね。
オシャレでエモいコード進行パターン
椎名林檎進行
- 度数:ⅣM7 ー Ⅲ7 ー Ⅵm7ー Ⅰ7
- キーC:FM7 ー E7 ー Am7 ー C7
「丸の内サディスティック」など椎名林檎が多用していたコード進行。
4和音進行にすることで、Jazzyで大人雰囲気のあるおしゃれな感じを演出してくれます。
渋谷系などシティポップ的な雰囲気があるコード進行ですね。
R&B進行
- 度数:Ⅵm7 ー Ⅱm7 ー Ⅵm7ー Ⅱm7
- キーC:Am7 ー Dm7 ー Am7 ー Dm7
4和音コードのループ進行。(サンプル音源は転回形にしています)
R&Bでは定番のループ感のあるコード進行の一例で、曲を通して使うことも普通にあります。
コード進行の複雑さよりも、アレンジやメロディライン(ボーカリスト)での雰囲気がポイントになるコード進行パターンですね。
またコードの配置(ボイシング)は転回形を活用することで、グッと雰囲気が増していきます。
R&B進行の派生パターン例
- 度数:Ⅵm7 ー Ⅱm7 ー Ⅵm7ー Ⅲ7
- キーC:Am7 ー Dm7 ー Am7 ー E7
- 度数:ⅣM7 ー Ⅲ7 ー Ⅵm7ー Ⅴm7
- キーC:FM7 ー E7 ー Am7 ー Gm7
- 度数:Ⅵm9 ー Ⅴm9 ー ⅣM7 ー Ⅶm7 ー Ⅲ7
- キーC:Am9 ー Gm9 ー FM7 ー Bm7 ー E7
一例なので他にも色々なコード進行があります。
R&Bの場合原則4和音なので、セブンス・コード(7・M7)やテンション・コード(9th・11th・13th)を入れて、
更に転回形を使うなどして音の配置(ボイシング)を変えていくことで雰囲気が出てきます。
コード進行パターンの使い方
コード進行のパターンを自分の作曲に使う際の大まかな使い方として、
- 全てのブロック(イントロ・Aメロ・Bメロ・サビなど)に同じコード進行を使う
- ブロックごとにコード進行を変える
の2パターンあります。
全ての構成ブロックに同じコード進行を使用すれば、まとまりのある統一感のある曲になります。
しかし、どの部分を取っても同じコード進行のためドラマティックであったり、盛り上がりを作りにくいです。
この場合はアレンジやサウンド・メイキングで特徴づけていく方向になっていきます。
EDM系やヒップホップ・R&B(現代の)系に多い印象ですね。

またブロックごとにコード進行を変えていくパターンはスタンダードで、歌い上げるモノに多かったりします。
曲中の山や谷を作りやすく、アレンジやサウンドメイキングに頼らず、起承転結な展開やドラマティックに展開したいのであればこちらですね。
ブロックごとにコード進行を変えていくのでも良いし、例えば
「Aメロは王道進行、Bメロは小室進行、サビでまた王道進行」
というような部分的に変化をつける形もできます。
