RADWIMPSが東日本大震災が起きた3.11に新曲を公開しました。
RADWIMPSはほぼ毎年3.11に新曲を公開していて、今年(2020年)も公開しました。
今回はRADWIMPSの3.11曲について、そしてこれまで発表してきた3.11曲とRADWIMPSのボーカル野田洋次郎さんのメッセージをまとめました。
それでは早速見ていきましょう。
RADWIMPSの3.11曲
RADWIMPSは2011年3月11日に起きた東日本大震災の追悼と鎮魂の意味を込めた曲を、2012年の3月11日からほぼ毎年新曲を発表しています。
RADWIMPSは東日本大震災が起きた3日後の2011年3月14日には、被災地へのメッセージと義援金を募るサイト「糸色 -Itoshiki-」を開設。
他にも2016年に起きた熊本地震の被災地の支援として、楽曲「バイ・マイ・サイ」の新録バージョンを配信するなど、被災地・被災者のための行動を起こしています。
RADWIMPSの3.11曲は毎年メッセージが添えられており、東日本大震災で亡くなった方へのレクイエムでもあり、被害にあわれた方、そして今を生きていられる人が今の自分を見つめ直すような楽曲だと感じています。
RADWIMPSの3.11曲を「3.11で金稼いでいるなんてゲスい」という意見もありましたが、
RADWIMPSが3.11で発表した曲は全てCD収録されていません。
2020年3月11日にも新曲が公開され、これでRADWIMPSの3.11曲は8曲となりました。
2012年3月11日:白日
東日本大震災の翌年、2012年3月11日に発表された「白日」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
今日新曲が完成しました。
あれから一年経つこの日をどう迎えるかずっと考えてたらどうしてもこの曲を録りたくなって、昨日の昼にメンバーに連絡しました。
どうしてもこの日に演奏して歌いたかった。
そしてついさっき完成しました。
2012年3月11日生まれ。名前は『白日』。
とても荒削りで不格好だけど、間違いなく僕たちの新たな大事な子供。
曲が産まれてからラッド史上最短での編曲、録音、ビデオ制作、発表になりました。
それらを可能にすべく尽力してくれた方々、本当にありがとうございました。
最後に、一年前の震災で亡くなったすべての命に、合掌。
洋次郎
2013年3月11日:ブリキ
東日本大震災の2年後、2013年3月11日に発表された「ブリキ」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
新曲が完成しました。
名前は『ブリキ』といいます。 やっぱり自分たちにできること、したいことはこれしかないや。 ぜひ聴いてください。
一年前から、どれだけのことが変わったんだろ。 たくさん変わったようで、何も変わってない気がする。
毎日を日々こなして、自分と世界を新しくしていくのは大事だけど、 この日くらいはただただ思いだす日でもいい気がする。
狂った世界にばんざい。 それでも愛すよーー。
映像の空は今日の空。今日の夕陽。今日の青。 晴れてよかった。たくさんの気持ちが、空の上に届きやすくなったかも。
最後に、二年前の震災で亡くなったすべての命に、 そして今もなお被災し続けるすべての人の心に、合掌。
洋次郎
2014年3月11日:カイコ
東日本大震災の3年後、2014年3月11日に発表された「カイコ」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
今年も、この日に曲を発表します。
タイトルは『カイコ』。
この日にふさわしいのかどうかわからないけど、3年前の出来事があって産まれた曲。ぜひ聞いてください。
今日であれから3年。もう3年。やっと3年。まだ3年。 何かを変えられるのは、今生きている人たちだと思う。 あの出来事に意味を与えられるのも。無かったことにするのも。 あんな痛みをともなって蒔かれた種なら、
せっかくなら、ちゃんと咲かせたいと僕は思う。
もうここにはいない魂に、届きますように。 今年も映像の空は今日の空。どこまでも透んで通っていた。
3年経ってもちゃんと空は青いまま。 この空がずっと続きますように。 遅々として進まない国の被災者、被災地への復興支援、仮設住宅で過ごす方たちへの生活保護対策には抗議します。
今やるべきことをやってほしい。
最後に、三年前の震災で亡くなったすべての命に、 今もなお被災し続けるすべての人の心に、合掌。
洋次郎
2015年3月11日:あいとわ
東日本大震災の4年後、2015年3月11日に発表された「カイコ」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
今年もこの日に曲を作りました。
タイトルは『あいとわ』。ぜひ、聴いてください。
あれから4年が経ちました。 もう二度とあの日を思い出したくない人。 大切な人のことを忘れたくない人。 今でも大事な人の帰りを待つ人。 新しい生活に向かう人。 その間を行き来する人。
誰ひとり間違ってないし、自分だけが決めることのできる意志だと思う。 僕はどれだけ分かろうとしても分からないし、分かった気になんてなりたくない。
どれだけ手を伸ばしてもそっちにはいけないから、せめて自分の場所からあの日の出来事、眼に映る出来事と向き合い続けたいと思う。
現在でも仮設住宅で暮らす方たちは5万人を超えています。
かつて住んでいた場所から移って避難生活を続ける人は合計で22万人を超えると言われています。
その方々の『日常』が早く戻ってきますように。 四年前の震災で亡くなった方たちに、今も被災し続ける方たちに、そして世界中で理不尽に奪われるすべての命に、合掌。
洋次郎
2016年3月11日:春灯
東日本大震災の5年後、2016年3月11日に発表された「春灯」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
今年もこの日がやってきました。
あれから5年。 とても長いような気もしますが、あっという間だった気もします。
中学1年生だった人は高校3年生に。1歳だった子は小学1年生に。 25歳だった僕も30歳になりました。
5年という月日の間に『復興』の度合いも地域により差が開いてきています。未だに福島第一原発の事故は収束していません。コントロールできていません。避難解除を受け、着々と街も整備され、前に動き出した地域がたくさんあります。
一方でいまだ故郷に帰れない人がたくさんいます。仮設住宅に暮らしながら地元に帰る日を待つ人たちがいる一方、故郷に帰ることを諦め新しい場所での生活を始めている方もたくさんいます。震災の後遺症で亡くなる人もいまだにいます。
原発の必要性の有無、様々なことが言われ物事は複雑に語られていきます。ただ、あの震災と津波だけだったら、今ほど復興に差が生まれ、地元に帰ることを諦める人は少なかったはずです。立ち入りさえ制限される区域は存在しなかったのです。
『フクシマ』という言葉の響きが、2011年3月11日以前のものに再びなるには、あと何年かかるのでしょうか。 心配すること、ただただ復興を願うことしか相変わらずできない自分なので、また曲を作りました。
『春灯』と書いて「しゅんとう」と読みます。 ぜひ聴いてください。
来年以降も曲を作るかはわかりません。当たり前にやるかもしれません。ただ3月11日の、あの悲しみだけを切り取って一つの作品を作ることに少しずつ、違和感が生まれてきました。どの楽曲にも、含まれているように思うからです。
逆にこの5年の間にも悲惨な事件、事故、大きな喜び、様々ありました。そしてそれらに常に影響されながら音楽を作っています。すべて混ざり合って「今」を生きている自分の音楽になっています。
あの大きすぎる体験を僕たちは忘れてはいけないと思います。
次いつ来るかわからない大災害の被害を、少しでも食い止めることであの日の震災の意味を変えることができます。 世の中を見回すと人災、天災問わず悲劇は次から次に起きているように思います。
感情が追いつかないほどめまぐるしい世界です。くじけそうになります。でもだから気付かされる人間の底力もあります。なるべくなら、光に眼を向けたいです。手を取り合って生きたいです。
こんな世界にも、鳴る意味のある音をこれからも鳴らしていきたいです。
そして文章と映像を送ってくれた皆さん、どうもありがとう。一つ一つ読んでいるだけで、涙が出そうになりました。
震災で亡くなった方の魂が安らかでありますように。 今も被災し続ける方々に平穏な日々が訪れますように。 そ
して理不尽な力に、奪われたすべての命に、合掌。
洋次郎
2017年
2017年の3.11曲は発表されませんでした。
2016年のRADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージから分かるように、3.11だけを切り取って曲を作ることに葛藤を感じていたようです。
東日本大震災の翌年から2016年まで毎年3.11に新曲を公開し5年が経ちました。
6年目となる2017年に新曲を発表しなかったのは、野田洋次郎さん自身が3.11のために創る曲の意味を見つめ直していたのかもしれません。
2018年4月8日:空窓
東日本大震災の7年後、2018年4月8日に発表された「空窓」。
これまでのどの曲も歌詞が考えさせられるのですが、7年経ち、時が経過した被災者の方たちの今の気持ちが現れている歌詞です。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
あれから7年が経ちました。
今年も曲を作りました。3月11日には間に合わなかったのですが、今日発表します。曲名は『空窓』です。
昨年、福島県立浪江高校は3月31日をもって休校しました。その最後の卒業生の生徒さん達から文章を受け取りました。今年はそれを元に歌詞を書きました。
震災が起きた瞬間の気持ち、家族と離れる気持ち、残る人、離れる人、7年という時は10代にとってあまりにも大きな時間です。体験していない僕には想像することしかできません。できるだけその言葉から受け取った想いを、過不足なく音にのせようと思いました。ぜひ、聴いてください。
今でも震災の影響で不自由を強いられている方々に早く安らかな時が訪れますように。そして震災で亡くなったすべての命に、合掌。
洋次郎
2019年3月11日:夜の淵
東日本大震災の8年後、2019年3月11日に発表された「夜の淵」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
今年も曲を作りました。 タイトルは「夜の淵」。
東日本大震災から8年が経ちました。
そしてこの8年の間にまたいくつもの災害、悲劇がこの国を襲ってきました。 昨年は北海道、関西での地震、西日本での豪雨など例年以上に災害が多発した年でした。
昨年地震が起きた夜、停電で真っ暗な中SNSなどで恐怖と闘いながら朝を待つたくさんの声を受け取りました。あいも変わらず何もできない自分にもどかしさを感じながら、せめて子守唄に、ほんの少しの心の安らぎになったらいいなと思い今回の曲を作りました。
そこにさらに歌詞を加え、編曲し、レコーディングしたものが今回の曲です。
普段の生活は不自由を味わった時にその幸せに気づきます。たった一つの電気が、あったかい部屋が、当たり前にそこにいる家族が、お風呂が、食事が、かけがえもなく幸せなことに気づきます。
そんな小さいかもしれないひとつひとつのために僕たちは日々を生きているんだと実感します。
東日本大震災。今も数多く行方がわからない方がいます。そしてその帰りを待つ家族の方がいます。元の場所に帰れない方がいます。原発の修復、廃炉作業をするたくさんの方がいます。
オリンピックももちろんいいけれど、なんだか色んなことに蓋をして、忘れてお祭りになるのだけは嫌だなと、思います。
8年が経ち、震災を知らない世代が増えていきます。
残念だけど、きっと定期的に、どうしたって地震や災害は襲ってきます。僕たちの日常を奪っていきます。その度に、思いやって、思い合ってひとつになれる国であったらいいなと心から願っています。
最後に、震災で亡くなったすべての命に、今も被災し続ける方達に、合掌。
洋次郎
2020年3月11日:世界の果て
東日本大震災の9年後、2020年3月11日に発表された「世界の果て」。
RADWIMPS・野田洋次郎さんのメッセージです。
あれから9年、今年も曲を作りました。
期せずして2020年3月11日現在、世の中はウィルスという社会的危機の中にあります。
情報が氾濫し、歪んだ感情も溢れているように感じます。人々の姿こそウィルスよりも脅威に感じる瞬間があります。何かのキッカケで一気に崩れ落ちていってしまうのではないか、そんな緊迫感があります。
それでも、それだからこそ今年も変わらずあの3月11日に想いを巡らせ、そこに『今』の空気を混ぜて一つの曲にしたいと思いました。なるべく素直に、思いのままに作った結果今年はこのような曲になりました。
絶望感がありながら、どこかそれは懐かしく優しいものに自分は感じたのです。色んな声があると思いますが、受け取ってもらえたら幸いです。
年々薄れていく記憶。それでも癒えることのない傷。新たに生まれる災害。すべての痛みに向き合っていたら到底心が追いつかない時代に僕たちは生きているのかもしれません。日々の小さな幸せに、眼を向けることを忘れずに生きたいです。
来年は震災から丸10年。一つの節目となります。この国で10年間歳を重ねてきた僕たち自身への一つの投げかけにもなる年だと思います。
「あれから、僕たちはどう生きたか」
そんな問いに、まっすぐ眼を見てこたえられるように、生きようと思います。
9年前の東日本大震災で亡くなったすべての命に、今も被災し続けるすべての方々に、合掌。
洋次郎
最後に
RADWIMPSの3.11曲は東日本大震災で亡くなった方へのレクイエムであり、被災者の方への励ましの曲ですが、
9年経った今では東日本大震災を忘れないための楔の歌ともいえます。
あの震災を経て
- どのような意識に変わったか
- どのように生きてきたか
そんな事を考えさせられる曲です。
RADWIMPSの3.11曲を聴きながら、その年の思い出にふけったり、自分の生き方を見つめ直す機会になるのではないでしょうか。