米津玄師さんの「感電」が公開されてから一気に話題となり、再生数もダウンロード数も驚異的な伸びを見せていますよね。
相変わらず米津玄師さんの人気が高いことが伺えます。
今回は「感電」を作編曲の視点で分析&考察してみます。
また「感電」に対してある批評を読んだのですが、少し感じることがあったので反論してみました。
それでは早速見ていきましょう。
米津玄師「感電」
連ドラ「MIU404」の主題歌として書き下ろされた、アルバム「STRAY SHEEP」収録曲で先行してデジタル配信されました。
アルバム「STRAY SHEEP」については以下の記事にまとめました。
⇨ 米津玄師「STRAY SHEEP」の発売日・収録曲・特典・予約状況まとめ
米津玄師さんのニューアルバム「STRAY SHEEP」の発売が決定しました。 実に2年半ぶり5枚目のアルバムとなります。 そこで米津玄師さんのニューアルバム「STRAY SHEEP」の発売日や収録曲、初回特典についてまとめました[…]
MV公開4日目で1000万回を超えるという、超速の再生数を記録。
MVの公開は「馬と鹿」以来の約10ヶ月ぶりで、米津玄師さんの変わらずの人気ぶりが伺えます。
オリコンチャート
- デイリー1位(デジタルシングル)
- 3位(週間合算シングル)
- 1位(週間デジタルシングル)[3]
Billboard JAPAN
- デイリー1位 (2020年7月6日~7月8日)
- 2位(Hot 100)
- 1位(Top Download Songs)
米津玄師「感電」の曲構成
「感電」の曲構成は大まかに
2Aメロ - 2Bメロ - 2サビ - Cメロ -
3サビ - 4サビ - エンディング
という構成ですが、細かくするとかなり入り組んでいます。
1サビ - 1サビ’ - 間奏 -
2Aメロ - 2A’メロ - 2Bメロ - 2B’メロ - ブリッジ -
2サビ - 2’サビ - Cメロ - Cメロ - ブレイク -
3サビ - 4サビ - 4サビ’ - エンディング
「感電」は次の構成ブロックの繋がるように、メロディ(A’メロ・B’メロ・1’サビ)も変わっています。
定番の2番を1番よりも短くする方式は取っていません。
「間延び」あるいは「飽きられ」を回避するため、上手くアレンジしている感じがします。
かつ各ブロックの尺が等しいのですが、メロディのバリエーションやブリッジやブレイクで飽きさせない工夫をしているのかなぁって思いました。
米津玄師「感電」のメロディ
米津玄師さん特有の「歌えそうで実際に歌うと難しい」というメロディですね・笑
裏声の部分もあり音域も広いです。
メロディの動きとしてはサビは音域が高くなりますが、細かく動いているAメロやBメロよりもキャッチーで音を取りやすい感じですね。
とはいえ、サビも高低差もあって難しいとは思いますが・・・
先述したように同じブロックのメロディでも変わっていて、バリエーションが多いのが特徴です。
「感電」のようなメロディを作るのなら、サビを耳に残るようなキャッチーなメロディを作りつつも、細かく動くような旋律を意識すると良いかと。
米津玄師「感電」のコード進行
ファンクならではの4和音のコード進行ですね。
正式なコード進行表はまだ発売されていないので、正確にはわかりませんが、以下のサイトを参考に見てみます。
9thや7thなどテンションコードが多く使われたコード進行で、これによってオシャレな印象を作れています。
コードの移り変わりは基本は2拍ごとですが、「サビ’」「Cメロ」では激しくコードが移り変わっているので、ブロックごとのコードの入れ込み方も工夫されています。
米津玄師「感電」のアレンジ
アレンジはファンクベース。
ホーンセクションやギターのカッティングがまさにファンクっぽさを出していますね。
またリズミカルなベースラインも印象的です。
大まかなアレンジ構成は以下
- 1Aメロ/1A’メロ:ドラム・ベース・ギター
- Bメロ:ドラム・ベース・ギターX2・ホーンセクション
- B’メロ:ドラム・ベース・ギターX2・ホーンセクション・オルガン(orエレピ)
- サビ:ドラム・ベース・ギターX2・ホーンセクション・オルガン(orエレピ)
- 2Aメロ:ドラム・オルガン(orエレピ)
- 2A’メロ:ドラム・ベース・ギター・オルガン(orエレピ)
- Cメロ:ドラム・エレピX2(?)・オルガン・コーラス
アレンジの楽器構成もファンクよりになっています。
また歌詞と連動して犬や猫の鳴き声など、サンプリングを使用しているのも面白いですよね。
米津玄師「感電」の感想
曲調としてはファンクとJPOPを融合させたような曲で、米民(米津玄師さんのファン)やドラマのファンの方なら一発で好きになると思います。
しかし、そうでない方はいわゆるキャッチー色の強い曲とは違うので、いまいちピンと来ないかもしれません。
だけど何回か聴くとハマる曲だと思います。
ゴリゴリのファンクってわけでなく、JPOP特有のキャッチーさもあり米津玄師さんならではの印象的で耳に残る曲です。
米津玄師「感電」は音楽批評への反論
米津玄師さんの「感電」に対しての音楽批評がありました。
その批評では色々と書かれていて、なるほどと思うこともありました。
が、その中で特に気になった箇所があったんです。
- サビのメロディがWANDSの「時の扉」を彷彿させて、いい意味でバタ臭い
- 作風を統一させる資質の高さに感心する一方で、意外と振り幅は狭いのではないか。
それが上記の2つ。
「感電」は「時の扉」に似てる?
サビの出だしのメロディラインはほぼ同じなので、ぶっちゃけWANDSの「時の扉」と似通っていると思います。
しかし、この2つのメロディラインは音数が違うのと、後に続くメロディラインは変わってくるので、気になるほどではないかと。
またアレンジが全く違うので、キャッチーさはあるけどバタ臭さは正直感じません。
米津玄師は意外と振り幅は狭い?
前段として批評している方は「感電」に対して
- 「感電」は“日本語のポップス”とは違った形式で聴いてみたかった
- とがったアレンジに比べると、まだボーカルがカラオケフレンドリーに聞こえてしまう部分がある
と述べていますが、そもそもこの曲はドラマのための描き下ろしなので、ドラマのイメージと逸脱するような曲にはなりません。
また米津玄師さん自身がインタビューか何かで、J-POPを重要視しているような発言もしています。
つまり軸はJPOPの普遍性があるので、どこかにJPOPを感じさせるテイストは入れてくるのではないでしょうか。
カラオケフレンドリーに聞こえてしまう部分というのもJPOPを重視しているからこそだし、カラオケフレンドリーに見えて実は非常に難しいメロディというのも米津玄師さんの特徴だと思います。
そして、米津玄師さんの振り幅が小さいというのが一番の疑問ですね。
僕自身は米民の方に比べたら圧倒的に「にわか」であり、「Lemon」が大ヒットしたことで聴くようになりましたが、それでも振り幅が小さいとは思いませんでした。
- 「Lemon」
- 「Flamingo」
- 「TEENAGE RIOT」
- 「パプリカ」
- 「海の幽霊」
- 「馬と鹿」
上記の「Lemon」以降のヒット曲だけを聴いても振り幅は広いと思います。
楽曲もメロディもクオリティが高いのはもちろんですが、批評している方が言う「振り幅」というのが、何を指しているのか分かりません。
もし「今までの米津玄師という色を入れない」ということなら、それは米津玄師の曲ではなくなるし、少なくとも日本で全く違うテイストを作ったアーティストを僕は知りません。
どんなに振り幅があっても、そこにそのアーティストの色は絶対入りますから。
というか、そのアーティストの色が入らなきゃ、逆にプロならダメだと思うんですよね。
アーティストの特徴や色が入るからこそ、オリジナルでありその人が歌う演奏する意味が出てくるので。
と、今回は読んでそのように感じた批評でした。